平屋で快適生活 家づくりの広さとは
どんな家にしよう。どんな家になるのかなぁ。そんな風に考えている時期が、家づくりの中でも一番楽しい時期かも知れません。前回のコラム「狭い土地でもあきらめない 平屋で快適生活」では家づくりの基盤となる「間取り図の見方の基本」を解説しました。家族のライフスタイルに合う家づくりのためには、最大限に間取りを活かすことが大切です。
今回は前回のコラムでは解説しきれなかった、間取り図をもっと深く読み取るために必要な基礎知識を解説していきましょう。少しでも建築に対しての知識を高めることで、家づくりはもっと楽しくなります。あなたらしい家づくりをNIKKENSOがしっかりとバックアップします。
~table of contents~
平屋が快適な訳とは
・シンプル&安全な住まい作りの実現
・コミュニケーションが取りやすい家づくり
家の広さを理解するために必要なこと
・スペースの広さを表す単位
家族に必要な家の広さ
・「誘導居住面積水準」と「最低居住面積水準」
・「間取り係数」
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平屋が快適な訳とは
平屋と聞いたらどのようなイメージを感じますか?
以前は今まで一生懸命働いたご夫婦が、ゆっくりのんびり平屋での第二の人生を過ごす。自然の豊かな別荘地でログハウスのような建物を建てている。などというイメージも強くありましたが、今は若い人や子育て世代の方を中心に人気が高まってきています。その理由のひとつとしてあげられることは、これまで感じていた平屋住宅に対するイメージが変化し始め、新たな可能性を感じさせる住宅に変化してきていることです。
平屋住宅自体は、最近になって開発された住宅ではありません。今その良さを見直され、昔から続く良い部分は残しつつ、変化を続ける平屋住宅に魅力を感じている人が多くなってきています。
シンプル&安全な住まい作りの実現
核家族で生活する家族スタイルも多くなり、今までよりも自分たちの暮らし方にあうシンプルなスタイルを希望する方も多くなってきています。自分たちのこだわりの部分を残し、不要なものは省く「シンプルな暮らし」を選ぶ際、平屋住宅はその魅力が活かされます。
ワンフロアでの暮らしは、シンプルながらも家族との距離も近く「家族が楽しく集う空間」も演出できます。そして最大の魅力は段差のない・階段のない安全な住まい作りが可能で、小さなお子さまがいる子育て世代から自分たちの将来にとっても優しい家づくりができます。そもそも上層階のない平屋住宅では階段が不要なため、通常は階段になってしまう非居住空間も有効的に広々と使用できるのです。
コミュニケーションが取りやすい家づくり
ワンフロアでの生活の平屋住宅。家族との距離も近く、コミュニケーションが取りやすいというのもメリットのひとつです。少し離れた環境でも、家族の様子も自然と分かることから「子育てしやすい」という声も多く聞こえます。
外との距離も近く、プランニング次第でその魅力を家づくりに活かすことができるのも大きなポイントです。子どもたちの笑顔の花咲くウッドデッキやどの部屋からもコミュニケーションの取れる中庭、隠れ家のようなスキップフロアやロフトなど、楽しみの詰まった工夫も施しやすいのが平屋住宅です。
家の広さを理解するために必要なこと
平屋住宅をより一層魅力的な住宅にするためには、間取りの工夫が1番の近道です。そのためには家づくりに必要な基礎知識を把握することも必要です。
スペースの広さを表す単位
敷地の広さとして一般的に使用される単位は、「坪」や「平米(㎡)」。そして住宅の広さを表している単位として一般的なものは、「畳」や「平米(㎡)」などが使用されています。坪・平米(㎡)・畳などは一定の決まりがあり、その決まりによって各単位の広さを把握することも可能です。
畳は文字の通り、畳1枚分の広さを示しているので、この単位の中では1番イメージもしやすいでしょう。一方、坪や平米(㎡)は、いまひとつピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。1畳は1.62㎡となっており、坪は約2畳分の広さになっています。下に坪数・平米数・畳数の早見表になっています。広さの目安の参考にしてください。
坪数 | 平米数(m2) | 畳数(目安・中京間) |
1坪 | 3.31m2 | 約2畳 |
5坪 | 16.52m2 | 9.98畳(約10畳) |
10坪 | 33.05m2 | 19.96畳(約20畳) |
15坪 | 49.58m2 | 29.94畳(約30畳) |
20坪 | 66.11m2 | 39.92畳(約40畳) |
25坪 | 82.64m2 | 49.90畳(約50畳) |
30坪 | 99.17m2 | 59.88畳(約60畳) |
35坪 | 115.70m2 | 69.86畳(約70畳) |
40坪 | 132.23m2 | 79.84畳(約80畳) |
45坪 | 148.76m2 | 89.82畳(約90畳) |
50坪 | 165.28m2 | 99.80畳(約100畳) |
55坪 | 181.81m2 | 109.78畳(約110畳) |
60坪 | 198.34m2 | 119.76畳(約120畳) |
※和室の場合は「〇畳」、フローリング等の洋室であれば「〇帖」と表すことが一般的です。
家族に必要な家の広さ
マイホームを本格的に検討し出した時、いろいろな雑誌を見たり、いろいろな建物を見に行ったり。たくさんの情報が集まってきます。大空間の住宅もあれば、かわいらしい住宅などさまざまです。自分たちが実際に生活する住まいには、どの位の間取りの広さがあればいいのか迷ってしまう部分です。
ここではある方法から自分たちに必要な広さをしっかりと把握する方法を解説します。
「誘導居住面積水準」と「最低居住面積水準」
国土交通省が取りまとめ公開されている「住生活基本計画(全国計画)における誘導居住面積水準及び最低居住面積水準」では、世帯人数で目標にしたい面積を把握することができます。
「誘導居住面積水準」では、世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準=理想的な住宅の広さの目安。
一方「最低居住面積水準」は、最低居住面積水準は、世帯人数に応じて健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準=最低限生活で必要な広さの目安になっています。
「誘導居住面積水準」の計算方法(2人以上の世帯の場合)
誘導居住面積水準:20㎡×世帯人数+15㎡ ※単身者は40㎡。
出典:住生活基本計画における居住面積水準(PDF) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012t0i-att/2r98520000012t75.pdf
「最低居住面積水準」の計算方法(2人以上の世帯の場合)
最低居住面積水準:10㎡×世帯人数×10㎡ ※単身者は25㎡
出典:住生活基本計画における居住面積水準(PDF) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000012t0i-att/2r98520000012t75.pdf
実際に計算をしてみると、下のような数値になります。
4人家族(夫婦2人+子供2人)の世帯
誘導居住面積水準:20㎡×4人+15㎡=95㎡(約30坪)
最低居住面積水準:10㎡×4人+10㎡=50㎡(約15坪)
このように数値にも開きがありますが約30坪の広さがあった場合、ゆとりのある家づくりの目安になるとも言えます。
間取り係数
国土交通省が公開している住生活基本計画における「水準」も家づくりの目安になりますが、2015年に亡くなられた建築家吉田桂二氏が考案した「間取り係数」も家づくりの目安として有効的な方法です。吉田氏の考案では、間取り係数が1.8前後だと住宅として少しゆとりを感じる家を作ることができるとされています。
家の間取りには日常生活で必要となる「基本の部屋」と「ゆとりのスペース」にあたる部分が存在します。基本の部屋とされるスペースには、リビングやダイニング、寝室、子供部屋、和室などを指すことが一般的です。そしてそれ以外のスペース(玄関、キッチン、洗面所、浴室、トイレ、収納)をゆとりのスペースとして分類されます。
間取り係数計算式 基本の部屋の面積(坪)× 間取り係数=延床面積(坪)
この計算式でどのくらいのスペースになるのか、計算してみましょう。
1.マイホームの建築の間取りになる「基本の部屋の面積」を洗い出します。
(基本の部屋=リビング、ダイニング、寝室、子供部屋、和室など)
(例)リビング:8畳、ダイニング:6畳、和室:6畳、寝室:8畳、子供部屋:6畳✕2 合計40畳(=20坪)
2.間取り係数を少しゆとりの感じられる「1.8」として計算する。
基本の部屋の面積(20坪)× 間取り係数1.8 =延床面積(36坪)
上のような数値になります。
ゆとりを感じる家づくりを考えている場合は、約30~40坪が理想です。とはいえ立地や予算面など、いろいろな制限などが出てしまうのが家づくりです。入手できる土地の広さにはやはり制限が出てしまい、それは致し方ないことです。理想の広さが手に入らなかったから、良い家づくりができない訳では決してありません。
限られた条件の中でいかに希望の住まいを実現するのかは、プランニング力にかかっているのです。
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